実証実験
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実証実験:科学的なWhizの清掃性能評価

実証実験の目的

隠れダスト数値化によるWhizの清掃性能の科学的評価

※隠れダストとはソフトバンクロボティクス株式会社が環境アレルゲンinfo and care株式会社との共同調査を元に独自に定義したものです。

キッコーマン ルミテスター PD30

実証実験の概要

株式会社熊谷組と共同で、Whizによる清掃前後における床面の隠れダスト量の変化を測定。隠れダスト量は、測定器(画像参照:ルミテスター PD30、キッコーマン)によるATPふき取り検査により数値化した。

「ATPふき取り検査」とは

生物由来のエネルギー代謝物質を検出し、生物的汚染度を試薬の 発光強度(RLU、Relative Light Unit)によって指標化する検査方法であり、生きた微生物(細菌、カビ)のみでなく、生命活動後の死菌や食品残渣なども併せて測定可能。 きれいな水で湿らせた綿棒で測定対象をふき取り、試薬と反応させたサンプルをルミテスターに入れるだけで測定することができる。

隠れダストの数値化手法

隠れダストは「チリ、花粉、カビ、細菌等、肉眼では見えにくく、床に存在し、空気中に舞い上がりやすい人の手では取り残してしまうゴミの総称」であり、花粉・カビ・細菌は生物であるため、当然、ルミテスターで測定が可能となる。 なお、チリは繊維くずや土砂などの微粒子のことであり生物ではないが、このような微粒子には細菌等が付着していることが知られている。つまり、ルミテスターによる測定値に反映される物質であると考えられる。以上のことから、ルミテスターを利用したATPふき取り検査でRLU値を測定することにより、隠れダストの数値化が可能であると考えた。

数値化手法の検証

実際に、ソフトバンクロボティクスオフィスにて、RLU値の測定を実施した。 一例として、人の往来が多く、床面が汚れている可能性の高いコピー機の前での測定結果では、 清掃前4,827RLU、清掃後2,512RLUだったが、Whizの清掃により2,315RLUの減少効果を確認。 全部で4ヶ所の測定を行い、いずれにおいても清掃後に1,000~3,000RLUの減少が確認できた。



オフィス床面における調査点と測定結果


これらの結果から、ルミテスターを利用したATPふき取り検査によって床面の汚染度(清浄度)が評価でき、かつWhizによる清掃効果をその場で示すことができると考えた。

「きれいな床」と言える基準値の設定

きれいな床面の基準値を求めるため、116ヶ所の測定結果から清掃後の測定値について1,000RLUごとのヒストグラム(度数分布図)を作成し、床面の清掃後ATP測定値の分布を調査した。




使用状況や床面の素材の違いに起因して測定結果に大きなばらつきがあるため、分布にもばらつきが見られるものの、清掃後平均値3,902RLUを中心とした3,000~5,000RLUにボリュームゾーンがあることが示された。 4,000RLU帯までの累積比率は54%、5,000RLU帯までで累積比率72%、6,000RLU帯までで累積比率83%、7,000RLU帯まででは累積比率は92%に達した。
一般的なオフィス床面の清掃前ATP測定平均値は6,221RLUだった。平均値より高い測定値の場合、清掃が必要な状態であると考え、逆に平均値より低い場合は十分に清掃がなされた清浄状態であると考えた。 また清掃後平均値3,902RLUより低い場合は清潔的な清浄状態であると考えた。
さらに、食品工場等での衛生管理(手洗い後の手指対象)のためのメーカー推奨基準値である2,000RLUを下回る場合は衛生的な清浄状態であると考えた。
https://biochemifa.kikkoman.co.jp/files/page/kit_pdf/dounyu4.pdf

これらの考え方と度数分布の累積比率を組合せ床面の清掃後におけるルミテスターを使用した管理基準値を設定、床面の汚染度および清浄度を判定する指標とすることができる。
清掃後のATP測定値が7,000RLU以上であれば十分な清掃がなされていないと判定する。継続的な清掃により、6,000RLU以下の状態を維持することが望ましいと考えられる。

ATP測定値と清浄度判定(ルミテスター管理基準値)

調査場所・方法

首都圏を中心とした施設(事務所、ホテルなど)116ヶ所のタイルカーペット床を主な対象(一部フローリングなどを含む)として、Whizによる清掃前後でATPふき取り検査を実施。



RLU値の変化

  • ・清掃前のATP測定平均値:6,221RLU(最大18,850,最小710)
  • ・Whizによる清掃後の平均値:3,902RLU(最大9,661,最小198)
  • ・清掃前後の差分平均値:2,319RLU

使用状況や床面の素材の違いによって測定値に大きなばらつきはあるものの、総じてWhizの清掃により2,000RLU程度減少することが分かった。

まとめ

本実証実験により、ATPふき取り検査による清浄度判断の指標を定義することができた。 この指標を用い、Whizによる清掃で清浄度が向上することが検証できた。

本実証実験は、株式会社熊谷組 の中村 孝道 博士、谷口 惠梨 氏によるご指導・ご協力のもと、ソフトバンクロボティクスと共同で実施しました。

中村 孝道 博士(農学)
株式会社熊谷組 技術本部 技術研究所 循環工学研究室 主任研究員

谷口 惠梨
株式会社熊谷組 技術本部 技術研究所 循環工学研究室

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