「Pepper」を使ったプログラミング教育の効果測定で
クリティカル・シンキングが高い結果に
2019年8月8日
ソフトバンクグループ株式会社
ソフトバンクロボティクス株式会社
ソフトバンクグループ株式会社とソフトバンクロボティクス株式会社は、人型ロボット「Pepper」を使ったプログラミング教育の取り組みである「Pepper 社会貢献プログラム」の教育効果を検証するため、国立大学法人東京工業大学※1の協力の下で行った調査で、Pepperを使ったプログラミング教育を受けた児童・生徒は、Pepperを使ったプログラミング教育を受けていない児童・生徒と比較して、クリティカル・シンキング(批判的思考力)の態度が高い結果となったことをお知らせします。
この調査の結果として、小学生では、Pepperを使ったプログラミング教育を導入している小学校が、導入していない小学校に比べ、クリティカル・シンキングの7つの尺度のうち「論理的思考の自覚」「客観性」「授業の受け方」「意見の聞き方」「考えの深め方」で高い結果となり、統計的に有意差があることが分かりました。また、中学生では、Pepperを使ったプログラミング教育を導入している中学校は、導入していない中学校に比べ、クリティカル・シンキングの7つの全ての尺度で高く、同様に有意差が認められました。
この調査は「日常の学習態度に対する変化」を検証するため、教育分野で広く用いられているクリティカル・シンキングの定義※2に基づき、学習への取り組み姿勢を問う7つの尺度とそれにひも付く20の質問を設定し聴取したものです。Pepperを使ったプログラミング教育を導入している小中学校と導入していない小中学校の児童・生徒に対して、2018年9月から2019年1月までに行われたプログラミング授業の前後でテストを行うとともに、各授業後にアンケートを実施しました。回答者数は小学生が1,934人、中学生が1,560人です。
また、Pepperを使ったプログラミング教育に対する教員の評価も聴取するため、185人の教員にアンケートを実施しました。その結果、児童・生徒にとって「プログラミングが理解しやすい」「主体的に学習に取り組む」などの点で魅力に感じていることが分かりました。さらに、実際に授業を行う教員にとっては、「教師用指導書や学習指導案の分かりやすさ」「プログラミングソフトの使いやすさ」に加え、プログラミング教育以外でも使える「汎用性」などが評価されました。。
「Pepper 社会貢献プログラム」は、ロボットと共生する未来の社会を担う子どもたちの論理的思考力や問題解決力、創造力育成を支援するため、ソフトバンクグループが2017年に開始した取り組みです。ソフトバンクグループは、「Pepper 社会貢献プログラム」の効果を継続的に把握するとともに、プログラミングなど子どもたちの教育環境の向上に貢献していきます。
[注]
今回の調査を担当した東京工業大学リベラルアーツ研究教育院 栗山直子 助教のコメント
「Pepperを用いたプログラミング教育により、児童・生徒はPepperという現実のロボットを目の前にして、積極的にプログラミングに触れることができました。調査と分析により、このことは単なる体験ではなく、児童・生徒にとってクリティカル・シンキングに関わる態度の育成がなされる可能性があることが示されたと考えています」
効果測定の尺度(7つの尺度で批判的思考態度を測定)
批判的
思考態度
2. 論理的思考の自覚
3. 証拠の重視
4. 客観性
批判的思考態度
6. 意見の聞き方
7. 考えの深め方
クリティカル・シンキングとは
- 証拠に基づく論理的で偏りのない思考
- 自分の思考過程を意識的に吟味する省察的で熟慮的思考
- より良い思考を行うために目標や文脈に応じて実行される目標指向的な思考
「良き市民のための批判的思考」(2013年、京都大学大学院教育学研究科 楠見 孝 教授)
調査結果(Pepper導入校/未導入校)
小学生
中学生
グラフは、「5:とてもそう思う」「4:そう思う」「3:どちらともいえない」「2:あまりそう思わない」「1:まったくそう思わない」の回答結果を加重平均して算出したスケール。