お客さまから選ばれる「名門」を目指すべく、広島県内のゴルフクラブで初めて配膳ロボット「Keenbot T5(キーンボット ティーファイブ) アイリスエディション」を導入した、鷹の巣ゴルフクラブレストラン。コロナ対策により広げたスペースを維持しながら、下膳はロボットに任せ、スタッフは人にしかできない接客の質的向上に注力しています。
お話を伺った方
左:取締役 木村喜史様(以下、木村)
右:レストランマネージャー 南原和宏様(以下、南原)
施設・会社概要
広島県廿日市にある鷹の巣ゴルフクラブは、開業から30年を迎えた老舗。レストラン、コースのメンテナンスなどサービスに特に力を入れているほか、ツアープロを招いたジュニア育成なども積極的に行っている。
経営者や役員クラスのお客さまが多い中、ピーク時などは下膳業務に追われ、接客や気配りまでできていなかった。コロナ対策として店内スペースの拡大を図ったため、スタッフの負荷がさらに増加してしまった。
「Keenbot T5 アイリスエディション」を導入し、配膳・下膳をロボットに任せたことで生み出した時間をお客さまへのサービス提供に集中できるようになり、ブランド力の向上へと繋げた。
「広島の名門ゴルフクラブを目指す」ブランド力向上のために“おもてなし”の時間を増やしたい
鷹の巣ゴルフクラブは、周辺地域にクラブが多く競争が激しい中、開業から30年にわたってお客さまから支持されているゴルフクラブです。特に「コース、食事、おもてなし」の3点を重点項目として営業に取り組み、近隣の企業の社長や役員クラスの方々に多く利用されています。
中でも“おもてなし”は、人でしか担えない価値であり、ブランド力向上の鍵を握っています。
木村様
「ブランドの向上は、一朝一夕にはできません。価格に見合ったサービス、それ以上の満足感を得られて、ようやく選ばれる存在になっていくのだと思います。そのために、おもてなしやサービスについて、スタッフ全員がよく考える必要があります。業務の効率化は徹底的に進めつつ、それを人件費削減ではなくサービス向上のために使うのが、私たちの考え方です」
ゴルフ場内のレストランは、プレイ中にホッと一息ついて、疲れを癒していただく場。そのため、なるべく出来合いのものではなく、心を込めた手作りの料理を提供しているといいます。
南原様
「プレイ中に一度は食事の機会があるので、その時間を楽しみにしてもらえるよう、工夫しています。季節を感じさせるメニュー展開や、手作りのおつまみメニューの充実など、内容にはこだわりを持っています。お酒と一緒に頼まれる方や、リピーターの方も多いので、新メニューの開発も常に取り組んでいますね」
下膳のタイミングやお客さまへの案内が遅延… 意を決してトライアルを開始
手作りメニューの充実は、客としては嬉しい限り。ですが店の運営を考えた場合、キッチンスタッフに人員を分かれれば、当然ホールは手薄になります。ホールスタッフが1日に5〜6名で、昼食時のピークタイムには全員がホールに立つようにしていますが、それでも下膳が間に合わなかったり、次のお客さまへの案内が遅れ、待たせてしまうことがあったといいます。
木村様
以前から配膳ロボットの存在は気になっていました。ただ費用が見合わず、導入を見送っていました。今年になって、展示会で偶然『Keenbot T5 アイリスエディション』の存在を知り、実用面での十分な性能と費用とのバランスがこなれてきたと考え、トライアルしてみることにしました。実機をすぐに用意していただけて、翌月からトライアルが可能だったことも、トライアル実施に弾みをつけました。
現場スタッフの声からオペレーションも改善。導入してわかったメリット、デメリットまとめ
2023年3月末から4月にかけて、鷹の巣ゴルフクラブレストランでは、2週間の「Keenbot T5 アイリスエディション」のトライアル導入を実施。全スタッフが期間内に使い込み、感じたメリットやデメリットを総ざらいしました。
メリット
- 「バッシングの作業を進めながら他のテーブルの対応ができる」
- 「遠い席のバッシングがたまった際、通常なら複数人で対応するが『Keenbot T5 アイリスエディション』があれば、1人でできる」
- 「何度も洗い場に行かなければならないところを、『Keenbot T5 アイリスエディション』を使えば一度も行かずにできる」
デメリット
- 「動くスピードが思ったより遅い」 →安全性と兼ね合いを考えて可能な限りの速さに設定
- 「コップなど細長いものは運搬中に倒れる可能性がある」 →高さのある上段部にトレーを入れて、コップ類を支える
多くのメンバーがメリットを実感し、デメリットについては担当の方がすぐに対策をしてくれたこともあり、費用対効果も踏まえて本格的な導入を決定しました。
ホールと洗い場の行き来が激減し、接客・気配りの時間を創出。「名門」の印象づくりにも貢献
2023年6月より1台導入し、早速変化が現れてきたといいます。
ホールスタッフ様
フロアの滞在時間が、ぐっと長くなりました。特に朝方のオープン時は一人で回すこともあり、何度もワゴンを押して往復して大変でしたが、今は接客に集中できます。
南原様
配膳ロボット導入の目的は、人件費の削減ではなく、スタッフが余裕を持てるようになることで接客や気配りの時間を増やすことにあります。例えば、追加のご注文やご要望など、お客さまからのちょっとしたサインを見逃さず、迅速に対応できるようになりました。
例えば、追加の注文をしたいとき。お客さまが手をあげたり、呼び出しベルを押す前に、スタッフが気づいてテーブルまで伺う。適切なタイミングで食べ終わった皿を下げ、気持ちよくコーヒータイムを過ごしてもらう。そんなちょっとしたサービスが行き届いていることが、結果的にお客さまの満足を上げ、「名門」の印象を作っていきます。
南原様
他にも一番奥の席の停止位置は、最奥まで行かずに少し手前に指定し、スタッフが下膳の際にフロアに背中を見せないようにしています。そのような細かな停止位置設定を、担当の方にしっかりサポートいただき、相談しながら進めることができました。
役割分担がはっきりし、迷いなく動ける。さらに、予想外の副次的効果も…!?
鷹の巣ゴルフクラブレストランでは、コロナ対策として席どうしの間隔をあけ、店舗面積も拡大させました。その分、端の席から洗い場までの距離がさらに6mほど増え、下膳時の負担も増えていました。今回の「Keenbot T5 アイリスエディション」導入により、遠い席はロボットに行かせて下膳をし、中央に近いエリアはスタッフが下膳とワゴンによる運搬をするという役割分担ができ、アフターコロナでの運営スタイルを確立することができました。
さらに、トライアル時には予想していなかった、副次的効果も生み出しました。
南原様
パーティーなどで使う40名のミーティングルームが2部屋あり、そこでも『Keenbot T5 アイリスエディション』を使ってみたんです。レストラン内での配膳はスタッフが担当するのがうちのルールですが、パーティーの場合は部屋の前までロボットに配膳してもらうようにし、配膳と下膳の両方で活用できています。スタッフが迷いなくキビキビと動けるようになり、労力も半減しましたね。
スタッフの目線も下から上へ。スムーズ&スマートな接客で選ばれ続ける存在になっていきたい
導入から2ヶ月で、すでに効果を実感していると語る皆さん。最後に今後の活用プランについて、教えていただきました。
木村様
人員削減ではなく、サービス向上のためにロボットを導入したいというプランは、狙い通りでした。下に向きがちだったスタッフの目線が、前を向いてフロアを見渡している時間が圧倒的に多くなったと感じます。これからも、ロボットを積極的に活用して任せられるところは任せつつ、スタッフはスムーズで落ち着いたスマートな接客をし、お客さまに選ばれ続ける存在になっていければと思っています。