大学の副専攻でPepperを使ったサービスを開発、コンテストでの入賞経験が就職活動の武器に!

  • 武蔵野大学 様

大学の副専攻でPepperを使ったサービスを開発、コンテストでの入賞経験が就職活動の武器に!
  • 今回は武蔵野大学工学部環境システム学科/AI副専攻の4年生、星川真菜さんにお話を伺いました。
  • 武蔵野大学工学部環境システム学科/AI副専攻の4年生、星川真菜さん

    星川さんに、オンラインでインタビューに答えていただきました

武蔵野大学は、東京都内に立地する、文・理・医療系の13学部を擁する私立総合大学です。また武蔵野大学は、AIを活用するための知識やスキルを学ぶ副専攻AI活用エキスパートコース(以下、AI副専攻)があり、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度の認定校でもあります。全学生が受講する情報科目でリテラシーレベルを、AI副専攻とデータサイエンス学部の科目が応用基礎レベルの認定を受けているそうです。

星川さんは、環境システム学科を主専攻とする傍ら、AI副専攻に所属し、その授業の一貫で、Pepperを使ったサービス開発をしました。サービス開発の逸話や、その延長で”STREAMチャレンジ”というコンテストで特別賞を受賞した時のこと、そして就職活動での様子をどうぞ!

なお、STREAMチャレンジとは、ロボットやAIなどの最先端テクノロジーを活用して社会課題に取り組む探究活動を応援するコンテストです。2023年度については、超SDGsラボが主催、ソフトバンクロボティクス社が共同主催・運営を担い、「ロボット部門」にて、人型ロボットPepperなど、社会で使われているロボットを利用した作品を募集しました。

まずは星川さんの高校時代の活動についてお話しいただけますか?

高校時代は商業高校にて、情報系の学科に在籍し、部活では情報処理部に参加して、情報の知識に囲まれて過ごしていました。
情報に関する知識を蓄えたのは部活動がきっかけで、基本情報処理技術者試験の勉強や、その知識を競うための大会に出場したり、プログラミングに関する勉強をしていました。
高校では情報学科の進学コースに所属していて、普通科でも行うような授業に加えて、簿記や情報についての知識やスキルを学びました。

部活でプログラミングを学んだとおっしゃっていましたが、具体的にはどんな言語を使っていましたか?

Java、Python、VBA、SQL、Scratchです。いずれも、簡単な文法を覚えて実際に動かすといった作業をしていましたが、Scratchに関してはさらに踏み込んで勉強しました。
Scratchではゲームも作ったこともあります。ゲームでは、上から落ちてくる障害物をひたすら避けて、クリアするたびにステージに異変が起きて、最後にユーザーを驚かせるホラー演出が出てきます!同じ作業を繰り返すゲームなので、幅広い難易度や目新しい演出を取り入れ、飽きがこないような設計にしました。

大学に入学してからは、どのように過ごしていましたか?高校時代に学んだプログラミングを触る機会などもあったのでしょうか?

大学に入ってから、触る機会が多かったのは、授業で利用した「Minecraft Education」などに搭載されている、ビジュアルプログラミングツールのMakeCodeですね。
大学1年生の時に受講したAI副専攻では、Minecraftの環境を使用してプログラミングを学ぶ授業があり、そこで触れました。MakeCodeはScratchとよく似たツールなので、高校で学んだ経験が活かせました。

AI副専攻の実践型の授業で、数多の選択肢の中からPepperを利用したテーマを選んだそうですが、何が決め手だったのでしょうか?

決め手は2つありました。1つ目は、どんなサービスを作ろうかと考えた時に、一番具体的なイメージが湧いたのがPepperを利用したテーマでした。触ったことはありませんでしたが、ソフトバンクショップなどでPepperをよく見かけていました。人がPepperと話をする時に、ロボットが相手なのにまるで親しい友達のように会話をする様子を見て、この繋がりは何かに使えるのではと思っていました。
2つ目はプログラムを作成する環境が、Scratchと似ていて扱いやすかったからです。授業の最後に行う成果発表会まで取り組める期間が半年と短く、チャットボットのような他のサービスの場合、別の言語で高度なプログラムを作成することになりますが、プログラミングよりもサービスの設計に注力したかったので、扱い慣れているScratchと似たツールで開発ができるPepperのテーマを選びました。

副専攻の成果発表会で発表した作品をブラッシュアップして、STREAMチャレンジにエントリーなさったと聞きました。STREAMチャレンジで特別賞を受賞した作品を改めてご紹介いただけますか?

  • 夜暗い道にPepperを設置し、Pepperと会話をすることで、道行く女性の不安を緩和するというサービスです。

    まるで友達と話をしているような口調と人のような身振り手振りで、女性が関心のあるコスメの話題や今日あった出来事などの会話をすることで、女性との仲を深められるように工夫しました。
  • STREAMチャレンジ2024表彰式でロボット部門 特別賞を受賞して喜ぶ Pepper と星川さん(画面中央のPepper右隣)

    STREAMチャレンジ2024表彰式でロボット部門 特別賞を受賞して喜ぶ Pepper と星川さん(画面中央のPepper右隣)

Pepperの会話内容を開発する際の工夫について、詳しく教えてください。

始めは、Robo Blocks [編者注:Pepper専用のビジュアルプログラミングツールで、Scratchに良く似ています] のChatGPTブロックを利用して、自由に会話ができるようにしようと思っていましたが、それだと設計時に期待したような、利用者の気持ちに寄り添うコミュニケーションにはならないなと思ったので、自分で会話を用意しました。
例えば、コスメの中でも何について気になっているのかを聞いて、リップであった場合は、Pepperが「今このブランドのリップが流行っているみたいだよ!知ってる?」のような応答をするなど、相手の持っている知識を探りながら会話を進めるようにしました。
また、コミュニケーションらしさを出すために、利用者が「話を聞いてくれてありがとう」などと声をかけ、Pepperが「こちらこそ話してくれてありがとう」という応答をするようにしました。そうすることで、利用者がきちんと話を聞いてくれていると実感できるように意識しました。
Pepperのジェスチャーも、嬉しい時は両手を上にあげたり、悩んでいる時は頭を抱えて首を振るなど、会話の内容に合わせて感情を表現できるようなモーションを採用しています。

特別賞を受賞した際、星川さんはどのように感じましたか?

自分のアイディアがたくさんの方に認めてもらえたような気がして、純粋に嬉しかったです。他にエントリーした方々は年下の方が多かったのですが、日常の些細な気づきをアイディアに結びつけていて、圧倒されていたので、まさか自分が受賞するとは思わず、びっくりしたのを覚えています。

周りの反応はいかがでしたか?

  • Pepper作品と学内学習発表会で掲示したポスターと共に、STREAMチャレンジにファイナリストに選ばれた際に撮影。星川さん(右)と指導担当の渡邊 紀文先生(左)

    Pepper作品と学内学習発表会で掲示したポスターと共に、STREAMチャレンジにファイナリストに選ばれた際に撮影。星川さん(右)と指導担当の渡邊 紀文先生(左)

  • Pepperのプロジェクトに関わった方々や家族が「おめでとう!」と祝ってくれました。実験に参加してくれた友人からは「全国規模で広がっていけば、Pepperを使っているユーザー同士でコミュニティが広がって、なおさら防犯意識が高まるかもしれないね!」など、サービスをさらに発展させるようなアドバイスをもらいました。

    主専攻の環境システム学科では、今回作ったサービスをベースにして卒論のテーマを決めたらどう?と意見をいただき、今実際に卒業論文を書いています。

卒業論文のテーマを伺ってもいいですか?

自作の防犯サービスが与える、環境社会の影響を評価する内容になります。
具体的には、今回開発したPepperを利用したサービスが実際に社会で使われた時に、環境にどれだけの負荷を与えたり、安全に貢献したり、社会的にどういう影響を及ぼすかを数値的に表そうと試みています。

この春に就職活動を経験なさったのですよね?いかがでしたか?

学生時代に頑張ったこととして、今回のPepperを使ったプロジェクトを紹介しました。企業から良い反応を頂き、就活を無事に終えることができました。内定先は、システム開発などを行うSIerの設計開発職です。プログラマーになることに、ずっと憧れていたので楽しみです!

その時の企業側の反応を、もう少し詳しく教えていただけますか?

よく聞かれたのは、「どういう発想でそのサービスを企画しましたか?」、「開発する上でどのような苦労がありましたか?」などの質問です。「元々実装させたいPepperの動きがあったので、理想に近づけられるようにプログラミングを何度も組み直しました。」と答えました。実際、3回くらいプログラムを書き直していて、自分でもこんなに組み直すことになるとは思っていませんでした(笑)。

色々なご苦労をなさいましたね。そのエピソードを聞いた企業側からの反応はどうでしたか?

技術に対する熱意や探究心、何回失敗しても諦めない粘り強さやチャレンジ精神、コンテストに参加する主体性などを評価していただくことが多かったように思います。

就職先ではJavaやPythonといった言語を使用すると聞きました。Pepperのプログラムを開発する際に、Scratchだとどうしても物足りないと学生に言われることもあるのですが、星川さんはどう思いますか?

Javaなどの言語と比べると、Scratchではどうしても開発の自由度は劣ってしまうかもしれませんが、初心者やプログラミングに慣れておらず、構造のイメージがつかない方にとっては、扱いやすい言語だと思います。
ビジュアルプログラミングは、文法ごとに色分けされている点や、ブロックを組み合わせるだけで多様な動きをつくることができる点で、プログラミングスキルを身に付ける際の第一歩として使うのにはとても良いツールだと思います。

最後に、Pepperと過ごした日々や活動全般を振り返ってみて、いかがでしたか?

  • とにかく楽しかったです!
    ITへの興味を辿って行った先に、Pepperのプロジェクトに携わることになり、まさか、コンテストで入賞したり、今回のようなインタビューの機会を頂いたり…サービス開発からこんなに派生して、貴重な経験ができるとは思っていませんでした。未経験のことに挑戦することが大好きな私にとって、本当に多くの恩恵をもらえたと思っています。
  • STREAMチャレンジの表彰状を手にする星川さん(右)とPepper

    STREAMチャレンジの表彰状を手にする星川さん(右)とPepper

星川さんの学生生活の中で、学びの場だけでなく、就職活動や卒論など、さまざまな活動の中で、Pepperが星川さんと共にいられたことを、弊社一同、感謝しております。
また、星川さんが、そのご経験を活かしてAI副専攻のスチューデントアシスタントとして、後輩へのアドバイスをするなど、既に活躍なさっていると聞きました。就職した後も、持ち前の熱意や探究心、主体性や粘り強さを活かして活躍なさることを、心より願っております!
ご多忙の中、貴重なお話をお聞かせくださり、ありがとうございました!



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