「人と清掃ロボットが協働する未来」
“持続的”な清掃サービスの提供を見据えて
- 空港
- 人手不足解消
- 清掃品質維持・向上
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日本空港ビルデング株式会社 様
施設管理:日本空港ビルデング株式会社
〒144-0041 東京都大田区羽田空港3-3-2
羽田空港旅客ターミナルを中心に施設管理運営事業、物品販売事業、飲食事業を手がける東証一部上場企業。
国際空港評価において「世界一きれいな空港」を5年連続7回目の受賞をしている羽田空港。その旅客ターミナルの施設管理運営を担っているのが日本空港ビルデング株式会社である。
世界的に高い清掃品質と評価される空港の運営企業がなぜロボット掃除機の導入を決めたのか。ソフトバンクロボティクスのWhizとRS26の導入のきっかけや効果などについて伺った。
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「清掃品質の維持」と「将来的な人手不足」の両方をWhizは解決可能にした
東京の空の玄関・羽田空港の施設管理運営を担うのが日本空港ビルデング株式会社だ。同社は羽田空港を利用する国内外のお客さまのニーズに迅速かつ的確に対応し、同空港の魅力向上に長年にわたって貢献してきた。
その成果は対外的な評価として表れており航空サービスリサーチ会社である英国SKYTRAX社が実施する「World Airport Awards」の清掃部門「World’ s Cleanest Airports」において5 年連続で世界第一位を獲得している。同社が提供してきた清掃品質がプロの目からも高く評価されていることがわかるだろう。
しかし、お客さまのニーズが多様化、高度化していることに加えて、持続的に高いサービスを提供していくためには大きな課題があった。「安定した清掃品質の確保と人手不足への対応、この2つの課題を同時に解決することが必要でした」と担当者は語る。
清掃ロボットの導入は解決策のひとつとして旧来より検討されていたが、その性能や安全性は不明点も多く、2016 年から「HanedaRobotics Lab(ロボット開発者へ空港内での実験の機会を提供し、問題点の洗い出しと運用上の知見を共有するプロジェクト)」を通じて複数の清掃ロボットの実証実験が行われてきた。そのなかにはWhizとRS26も含まれており、事前に設定したエリアを正確かつ自律的に清掃することが可能かどうかが繰り返し検証され、どちらの機種も十分に活用可能との評価を得た。
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日本空港ビルデング株式会社
事業開発推進本部 事業開発部 事業開発課
中島 悠太 氏 -
大型スクラバー(水清掃車)「RS26」
誰でも簡単に扱えるシンプル設計と、
人間と同レベル以上の清掃品質
日本空港ビルデングがソフトバンクロボティクスの清掃ロボットを高く評価するのは次の2点である。ひとつは「シンプルな操作性」だ。現場では、今後の人手不足に加え、清掃員の高齢化も予想される。加えて多くの清掃員が扱うため、誰でも簡単に使いこなせる必要があった。「ボタンを押すだけで稼働させられるシンプル設計や手動で一度清掃するだけでルートが設定できるやさしいティーチング方式は、パソコンや機械に対してやや苦手意識がある方でも十分に使いこなせ、現場に大きな負担をかけず運用が可能」と担当者は話す。
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もうひとつは「一定の品質で掃除が可能」なことだ。人が掃除をする場合、清掃に若干の個人差が出てしまうこともあるが、ロボット掃除機にはそのようなことがない。「持続的な清掃品質の確保」が課題である同社にとってWhiz、そしてRS26は有効な清掃ロボットだったということだろう。「人間と同レベル以上の清掃品質を提供してくれています。」との評価をいただいている。
人と清掃ロボットの強みを
掛け合わせて協働体制を作る
2019年11月7日からロボット掃除機の運用を開始させた。運用にあたっては清掃の協力会社との事前調整を綿密に行ったという。「協力会社と一緒になって上手な運用方法を考えていくことが大切だ」と語った。同社は、清掃ロボットの導入をきっかけに人の強みとロボットの強みを活かした清掃オペレーションを構築するべく日々運用の改善を重ねている。
人と清掃ロボット、それぞれの強みを掛け合わせることで、清掃品質の確保・向上のほか、清掃員の生産性向上も図ろうという狙いである。
現在(12月18日時点)は約4,000 平米の広さのあるカーペット敷きの羽田空港ターミナルビルの商業施設であるマーケットプレイスにおいて2台のWhizが稼働中である。運用を始めたばかりで習熟中ということもあり、清掃員の労働時間の削減など、「効果を具体的な数字で表せる段階にはない」と言うが、「Whizは一定の品質を保ったまま自律的に掃除を行えるため、その間、清掃員はほかの作業に時間を充てることができており、例えばカーペットの染みの除去など、手間のかかる作業に集中できるので助かる」とのことだ。ロビーなどのハードフロアでは水を床に吹き付けブラッシングし、汚れた水を負圧で吸い上げる大型スクラバー「RS26」が活躍している。つまり、清掃ロボットと人間、それぞれの強みを活かした清掃オペレーションに作り変えることで、清掃品質の確保・向上のほか、清掃員の生産性の向上を実現するための環境を構築しているのである。
導入エリアを拡大して、
いつでも清潔で快適な空港に
まだ、ロボット掃除機の運用は始まったばかりだ。それでも、運用上の課題が徐々に見えてきている。「Whizは段差が大きいところでは使用できないことは知っていました。しかし、どれくらいの高さだと運用に支障が出るのかは動かしてみないと不明であり、他にも実体験を通してWhizの特長と課題を理解している所です」とのことである。
現在は清掃現場で運用して得た知見を活かして、Whizを稼働させるエリアとRS26を稼働させるエリアに区別し、さらに洗練された清掃オペレーションの構築を図っている。
最後に、清掃ロボットを活用することを前提としたうえで、今後の展望について聞いた。「運用状況を見て、清掃ロボットの導入エリアを拡大していきたいと考えています。それにより、羽田空港全体で清掃品質の確保・向上に向けた取り組みが強化されます。また、清掃ロボットが活躍することで、清掃時間に余裕が生まれ、清掃員の働き方が変わっていくことも期待できます。働き方改革を進展させる一助として活用したいですね」。
同社の使命は「清潔で快適な羽田空港ターミナルを“持続的”に提供していく」ことだ。Whiz、そしてRS26は清掃品質の確保・向上と将来的な人手不足への対応を通して、同社の使命に貢献している。