「Whiz」は、ソフトバンクロボティクスが開発・提供する除菌清掃ロボットであり、今後さらなる拡大を目指すロボット事業の重要な一翼を担っています。
今回、「Whiz」のプロジェクトを担当するメンバーの中から3名が、プロジェクトの体制や、目標に向けて注力している取り組み、ソフトバンクロボティクスで新規事業に携わるやりがいなどを語りました。
事業開発、カスタマーサクセス部門を兼務。
事業戦略・事業企画を担当し、「Whiz」の販売戦略の立案を行いながら、課長として組織のマネジメントも担う。
パートナー推進チームリーダーとして販売代理店の立ち上げや営業推進を担当。
チームのメンバーのサポートをしながら、複数の販売代理店の推進業務を行う。
パートナー(販売代理店)の営業推進を担当。現在は名古屋事業所の立ち上げを行う。
I.K.さん:
簡単に言えば、業務用の清掃ロボットです。ただ、AI(人工知能)を搭載している点が、普通の清掃ロボットと違います。
また、実際に使ってもらう清掃現場にとっては何よりも、“簡単に使える”、明解な操作性も大きな利点です。清掃員の方々の属性として、年齢が高めで、日常でテクノロジーに触れる機会も少なく、「ロボット」に対して抵抗感がある方が多いです。これまでも業務用の清掃ロボットはあったものの、実際のユーザーである清掃員の方々がなかなか使いこなせず敷居が高い存在となっていましたが、「Whiz」を使ってもらうと、「ソフトバンクロボティクスはこんなに良いものを作ってくれたんだ」と純粋に喜んでいただけます。
企業が抱える清掃面の課題に確度高く適応した製品として、お客さまにとってメリットも多く、導入にあたりネガティブなことが見当たらないと言ってもいいと思います。労働人口が減少する中でも清掃業界の人材不足は顕著ですので、社会全体の課題解決にも役立つことも想像しやすいのではないでしょうか。
——確かに、どんなに良い製品でも簡単には売れないですよね。では、皆さん(Whizチーム)の役割についてお聞かせください。
まず、プロジェクトに関わるソフトバンクロボティクスの組織はどうなっているのでしょうか。
T.O.さん:
現在はプロジェクト推進本部という部署として、企画・開発から、拡販・カスタマーサクセスまで、一本部の事業部制で社内組織が構成されています。
——製品づくりから販売後のサポートまで一貫した体制なんですね。
その中での3人の役割は?
T.O.さん:
パートナー(販売代理店)の営業促進です。販売パートナーごとのビジネスモデルの立て付けを一緒につくり、それを基にして「Whiz」の契約を取ることをアシストしています。
I.K.さん:
私もT.O.さんと同じパートナー営業ですが、今は名古屋事業所の立ち上げをしており、東海・北陸エリアにおける営業推進を行っています。東京や大阪に本部を置くパートナー企業のエリア拠点が多く、本部や市場からの情報収集の手助けや、複数拠点の取りまとめ、ソフトバンクロボティクス側の本部への情報集約などを通して、エリアを含むパートナー全体の動きをよくするという循環もつくっています。
J.I.さん:
私は、二つの役割(部署)をそれぞれ課長として兼務しています。一つは事業戦略・事業企画として、「Whiz」を販売するパートナーと、「Whiz」をどう売っていくかという全体の販売戦略を立てています。
もう一つは、カスタマーサクセスです。初めて「Whiz」を見る人に丁寧に使い方を教えて、お客さまの業務に適した利用方法をご提案し、ご利用中のお客さまに困ったことがあればフォローする人員を組織化して全国に配置しています。
——「Whiz」の、プロジェクトとしての目標を教えてください。
J.I.さん:
グローバルと国内において、具体的なWhiz展開台数の数値目標を掲げています。
その目標を短期間に達成し、国内外でロボティクス事業のパイオニアとして認められることを目指しています。
——その目標に向けて、皆さんが注力している取り組みを教えてください。
T.O.さん:
今のフェーズで注力しているのは、販売パートナーの立ち上げによる販路の拡大と、そもそも「Whiz」はどのような売り方がいいのかを常に考えています。
「Whiz」が製品として公開された当初は、1日無料清掃キャンペーンを企画し、お客さまの施設に持ち込んで実際に使っていただき、購入を判断してもらうといった施策を行っていましたが、今後はテレビCMなどのPR戦略と連動して、お客さまの導入意欲を高めるような取り組みを行うなど、様々なアプローチを模索している段階です。
——様々な施策を実行する中で、感じることはありますか?
T.O.さん:
色々と挑戦していると、これが正解かな?という私たちの認識も日々進化をしていき、目指す方向性も変わっていきます。その変化のスピードがとても速いので、スピードに合わせて対応し続けることは、とても面白みを感じる半面、苦労も多いですよ。
——どんな変化があったんですか?
J.I.さん:
例えば、「Whiz」を発売した2019年5月からと比較すると、市場へのアプローチ方法を変更しました。私はWhizチームにアサインされる前は「Pepper」の拡販に携わっており、「Whiz」についても、当初は「Pepper」同様に販売パートナー主体のビジネスモデルに合わせてスタートしました。しかし「ロボット」が清掃市場や働く人たちに浸透していない環境で、すぐに購入には至りませんでした。自分の体験(「Pepper」)と同じようにやっても、我々の目標に到達するのは難しいと判断し、10月からはサブスクリプションの販売スタイルを主流として舵を切りました。
——長期契約前提のレンタル・リースからサブスクリプションモデルへ。大きな変化ですね。企画から意思決定はどのような流れで行ったのでしょうか。
J.I.さん:
きっかけとしては、お客さまと話している際に「面白いけど、契約期間が長い」「良い製品だけど、1年後かな」と言われることが何度かあり、手応えはあるのにお客さまに購入に踏み切っていただけない要因が、価格や契約期間にあると感じました。それを崩しにいこうと考えたんです。販売パートナーにとってもビジネスとして価値があると認めてもらうために、社内外の様々な関係者を巻き込みながら、ビジネスモデルの検討を行いました。
——現場の声を吸い上げて企画に反映する。市場と向き合う営業・企画職としてはとても面白みを感じますよね。
J.I.さん:
そうですね。それに、ソフトバンクロボティクスだからできることだと思います。ソフトバンクグループらしい業界の市場シェアを取りに行く考えの下でこそ、ソフトバンクロボティクスとしてもリスクを取ったビジネスモデルが実現出来るのだと感じています。
——I.K.さんは中途で入社されて1年経っていないと思いますが、ソフトバンクロボティクスのスピード感はどうですか?
I.K.さん:
スピード感も含めて、入社直後は本当に驚きの連続でした。最近ようやく慣れてきたというのが正直なところです(笑)
もちろん身体は疲れますが、日々新しいことに挑戦しているので、刺激的で楽しいんですよね。変化が多くても、違和感ではなく納得感のあるロジカルな方向転換ですし。
さらに、それがとても良い方向転換だったとしても、意思決定のフェーズまでいって結局リスクを取れない、ということもビジネスにおいては多いと思いますが、ソフトバンクロボティクスだと「とりあえずやってみよう、ダメだったら他の方法を考えれば良い」で前に進められるんです。ソフトバンクロボティクスじゃないとできないという実感もあるからこそ、楽しめます。
——ソフトバンクロボティクスじゃないとできないのは、なぜですか。
I.K.さん:
J.I.さんの話にあったようにソフトバンクグループやソフトバンクロボティクスとしてのリソースやビジネスの考え方はもちろん、そこに優秀な人が集まったチームだからですかね。
——どんなメンバーが多いですか。
J.I.さん:
事業のすべての対応に当事者意識を持って取り組み、しっかりアウトプットを出せるということが共通して言えると思います。
——採用においても、そういう方を求めているのですか?
J.I.さん:
はい。ロボットの将来性にキラキラした期待感を抱いているだけだと、入社してもギャップが大きく生じてしまうかもしれません。「目標を絶対に達成する」という使命感を持っているかどうかは選考を通してすり合わせるようにしています。
ただ、それだけの気概を持つ人にとっては、未来志向型のロボットビジネスの立ち上げという、まさに希少な経験であることは間違いないです。
自分の市場価値を上げるためのキャリアステップとしてもプラスになるのではないでしょうか。それらも含め、自らのキャリアを冷静に捉えてソフトバンクロボティクスを選んでくれるような人に、入社してほしいです。
——I.K.さんは名古屋拠点の立上げをしているんですよね。エリア拠点にはどんな役割があるのでしょうか。
I.K.さん:
東京以外のソフトバンクロボティクスのWhiz拠点については、福岡、大阪、名古屋という順で進めており、東京や大阪に本部があるパートナーの支店が置かれていて、かつ我々にとっての市場もあるという基準で場所は選定しています。1次代理店としての機能を持つパートナーの支店もありますので、エリアと言っても迅速なサポートが求められます。
——入社間もないI.K.さんが拠点の立ち上げにアサインされたのはなぜだったのですか
I.K.さん:
率直に、組織(部長)からの指名です。一人ではなく、チームとして垂直立ち上げをさせる力があるという、評価と期待を頂きました。
私自身、セールスが好きだし得意だという自負もありますし、育成や風土醸成なども経験があります。そんなバックグラウンドや挑戦する姿勢を汲んだ上だったのかと思います。
名古屋チームは私も含めて10人。メンバーも「Whiz」を全く知らないところから教育を行い、各パートナーの販売支援をしつつ、既存ユーザーのサポートも行えるまでに全体を引き上げていきました。
——単にやる気のある人に仕事を振っていくわけではないのですね。
I.K.さん:
はい。精神論ではなく、根拠の下で仕事を任されます。ただ、困っているときは一緒に考えてくれますし、上司やチームのサポートがあるので、すごく挑戦しやすい環境です。「○○ならできるから、やってみようよ」という空気をつくってくれます。
—–今後の拠点の方向性や目標はありますか?
I.K.さん:
当たり前ですが、各パートナーの数字を上げることと、新規のパートナー開拓を進めています。その中でも、地域の特性も見極めながらエリアに強い販売店を開拓したいと考えています。
J.I.さんが言ってくれたように、拠点とはいえ一つの小さな会社のようなものです。組織長として、各メンバーの特長や役割を認識し、適材適所にアサインし相乗効果を持たせた上で、パートナーや新規顧客の開拓、さらには既存顧客の満足度向上を実現していく。それはエリアでしかできないことであり、今の私のミッションです。
—–では、J.I.さんが直近(Whizプロジェクト)で挑戦したエピソードを教えてください。
J.I.さん:
ある大手パートナー企業(A社)との取り組みです。当初から「Whiz」の展開を好意的に捉えていただきつつも、現場の営業に展開しても売りづらいだろうという認識がありました。テスト販売開始までの半年で、A社のビジネスの中で「Whiz」をどう組み込んでいくかというモデルを検討する必要がありました。
A社内で「Whiz」の専任チームを立ち上げていただき、販売しやすい仕組みや戦略を一緒に練っていきました。A社・ソフトバンクロボティクスのトップ同士でも話してもらい、企業のビジョンやこの事業の価値を共有しました。
そこからさらにブラッシュアップし、現場に展開してもらう。そんなサイクルを踏んで10月の販売開始に繋がっていきました。
—–特に大変だったことは何ですか?
J.I.さん:
全国での勉強会実施ですね。ビジネスモデルの目処がたったところから、一気にスピード感が上がり、“全国一斉での”販売展開が決まりました。1カ月間で、50回以上の勉強会を行うため、ソフトバンクロボティクスでも全国に担当者を配置しました。全国の事業所の立ち上げを行いながら、リソースが足りないところにはメンバー全員が出張を繰り返し、体力的にもすごく大変でしたが、A社からの信頼は高まったと思います。
今は最適な営業手法の開発やお客さまの成功事例の展開など、日々の数字と現場の状況を振り返りながら、A社と共にプロジェクトを推進しています。
—–ソフトバンクロボティクスでは比較的在籍が長いJ.I.さんにとって、Whizプロジェクトで成長を感じることはありますか?
J.I.さん:
これまでの自分のキャリアがあったから成し遂げられている事柄はあります。Pepper事業に3年携わり、「ロボット」を売るために本当はこういうアプローチが良いんじゃないかと考えていたことを、いま「Whiz」に生かせていると思います。
例えば、サブスクリプションモデルでは、解約リスクを低減させるために、お客さまと継続してコミュニケーションが出来るカスタマーサクセスの組織化を行いました。3カ月という限られた期間で全国各地で採用活動を行い、知識のないメンバーに一から「Whiz」の研修を行い、現場に出られるよう育成することで30人規模のチームとなり、既に1,000回以上の現場対応を行っています。
—–皆さんのエピソードから、個人の裁量、スピード感、チャレンジ精神など、ソフトバンクロボティクス&Whizチームの醍醐味が伝わったかと思います。改めて、ソフトバンクロボティクスならではの魅力やメッセージをお願いします。
J.I.さん:
会社としての魅力は、やはりソフトバンクグループの先見性や未来への投資です。ソフトバンクグループだからこそ得られる最新のテクノロジーがあり、その事業を収益化できるか検討して挑戦できるのがソフトバンクロボティクスだといえます。その先に、ロボットを通じて世の中に感動や驚きを与える仕事ができます。
また、私たちがスピード感を持って挑戦するために必要な、個人の裁量も存分にあります。誰もやったことがないし、ノウハウも持っていないことが多いからこそ、それに対するアイデアを出して企画化し実行する仕事が多くあります。まさにゼロイチが経験できる環境なんじゃないかと思います。
I.K.さん:
そこから生み出された製品力もありますよね。最初にお話ししたように、売れるプロダクトを生かすのが私たちのミッションであり、面白みです。ハードだけではなく、売り方やサービスを立て付けてあげるということはソフトバンクロボティクスにしかできない、私たちが勝てる強みだと思っています。
T.O.さん:
肩書にこだわらず、色々な業務を任せてもらえるところです。商談相手が大企業の代表や役員であることが多く、さらに「清掃をする」=「Whizユーザーになり得る」顧客の業界はとても幅広いので、様々な方とお会いしています。とても貴重な経験ができており、商談スキルが磨かれている実感もあります。ソフトバンクロボティクスに入るまでは限られた業界で営業をしていましたので、今は不動産やビルメンテナンスを軸としつつも、色々な業界の知識やノウハウを学び続けていて、大変ですけどI.K.さん同様に変化や刺激があって楽しいです。
また、ソフトバンクグループならではの制度面で言えば、別の部署やグループ会社の募集ポジションに応募できる社内転職のようなキャリア関連制度があります。私もグループ内でソフトバンクロボティクスへ異動したのですが、自分なりの新たな挑戦がしたいとか、今の部署でかなわない目標を見つけたときに、退職せずに異動や転籍などキャリアの選択肢があるのは、転職先を選ぶ際の後押しの一つにもなると思います。
▼「Whiz」 紹介ページ
https://www.softbankrobotics.com/jp/product/whiz/
※記事の内容は、2019年11月29日取材時点での情報です。