コンパクトな個人飲食店の配膳ロボット活用術。北国・北海道で生まれた”人とロボットの絆”とは

お出汁・酒肴・佳さく 様(北海道函館市)

お出汁・酒肴・佳さく 様(北海道函館市)

飲食店が抱える人手不足という問題。個人経営の小さな店舗では、その深刻さはなおのことです。北の国 北海道・函館市にある、席数20ほどの居酒屋「お出汁・酒肴・佳さく(おだし・しゅこう・かさく)」では、その状況を打破するために配膳ロボットを検討。2社の製品を比較した結果、配膳時の安定性や営業の対応力などからソフトバンクロボティクスの配膳・運搬ロボット「Keenbot T8(キーンボット ティーエイト) 」を導入しました。

この記事はこんな課題を持つ人にオススメ(読了目安:10分)

  • 「個人経営の飲食店で人手不足に悩んでいる」
  • 「スタッフの入れ替わりが激しく定着しない」
  • 「常連客の多い店舗での配膳ロボット運用に不安がある」
  • 「小規模店舗での導入効果やお客さまの反応が知りたい」
店長 島本悦子(しまもと・えつこ)様

お話を伺った方

店長 島本悦子(しまもと・えつこ)様(写真)
スタッフ 馬場徹(ばば・とおる)様
常連のお客さま

お出汁・酒肴・佳さく

施設・会社概要

北海道・函館市に店舗を構える飲食店。店舗で鰹節を削るなど、お出汁にこだわった料理、肴を提供する和食居酒屋。お出汁のおいしさを追求した料理と、それに合う全国各地の日本酒、ナチュラルワインなどを取りそろえている。夫婦や家族、職場仲間など多様なお客さまに愛されている。

課題

  1. スタッフが定着せず、慢性的に人手不足になっていた
  2. 配膳の負担が多く、店がピリピリした雰囲気になりやすかった

効果

  1. 安定的に稼働できる配膳ロボットにより人材不足の不安が解消。コスト低減も実現
  2. 心身ともに余裕が生まれ、新しいチャレンジを考えられるように

特徴:「お出汁」を使った自慢の料理で楽しい時間を提供

鹿児島県産かつお節と函館産真昆布などから取る、お出汁を使った一品料理が自慢のお店。料理に合わせる酒にもこだわりがあり、日本全国の地酒に加え、ナチュラルワインも揃えるなど年齢層を問わず楽しめるメニューを展開しています。店長の島本様が根室出身ということもあり、根室を始めとした北海道の新鮮な食材を使った料理も特長の1つです。

お出汁を使った自慢の料理で楽しい時間を提供
根室を始めとした北海道の新鮮な食材を使った料理も特徴の一つ

島本様
『佳さく(かさく)』は、店名に『お出汁・酒肴』とつけられている通り、お出汁の効いたお料理とお酒で、お客さまに楽しい時間を過ごしていただこうとつくったお店です。職場仲間やお友だちと一緒に、あるいはご夫婦など、様々なお客さまがいらっしゃいます。

店内の様子
店内の様子

課題:仕事に慣れたタイミングで退職……そのたびに人を探す苦労

飲食店の人手不足は慢性化しています。パートやアルバイトという労働条件もあり、長く定着してくれるスタッフは多くありません。「お出汁・酒肴・佳さく」においても、同じ悩みがあったといいます。

島本様

島本様
怪我をして仕事が続けられなくなった人もいれば、期間が決まっている学生さんもいて、人の入れ替わりは常にあります。やっと仕事に慣れたと思ったら、もういなくなる……という感じで。そのたびに人を探すのってすごく苦労するんですよね。

ニュースでも騒がれているように、人手不足は日増しに深刻化していきました。その頃、島本様がテレビでみかけたのが配膳ロボットでした。島本様は「テレビで見て、『こういう方法もあるのか』って思い始めました。マスターにも調べてもらって、そこから真剣に検討し始めました」と、当時の経緯を振り返ります。

人手不足で日増しに深刻化していく中、島本様がテレビで見かけたのが配膳ロボットでした

導入の経緯と決め手:「お出汁」が入った汁物をこぼさない安定性

導入機種の選定に当たっては、2社の製品を実際に使って数週間のテスト導入を実施。そして、次のような理由から「Keenbot T8(キーンボット ティーエイト)」の採用が決まりました。

①自慢のお出汁が入った汁物をこぼさず運ぶ運搬性能
②料理受け取りを判別するカメラの搭載
③揺れなくこぼさず客席まで届けられる正確性

導入の経緯と決め手:「お出汁」が入った汁物をこぼさない安定性

検討した2つの製品のうち、片方は飲み物や汁物を運ぶ際にこぼれることもありましたが、「Keenbot T8」は安定した運搬性能を見せました。また、「Keenbot T8」はカメラを搭載しており、お客さまが料理を取ったことを確認すると自動的に厨房に戻りますが、競合製品ではお客さまにボタンを押さないと厨房に戻らない利便性の差も決め手の1つと言います。

カウンターとテーブル3卓と店内はコンパクトでも配膳の苦労は多大カウンターとテーブル3卓と店内はコンパクトでも配膳の苦労は多大

設定した場所に、正確に料理と飲み物を安定的に運ぶことができて、お客さまの手をわずらわせることの少ない「Keenbot T8」が選ばれたのです。さらにこの試用期間を通じて、店長の島本様は予想外の感触を得たと語ります。

Keenbot T8

島本様
人とふれあう場所にロボットを導入することに抵抗があるお客さまも多いのではないかと思っていました。それで、はじめのうちは『今はまだ試験的に考えているだけです』と一言、お断りをしていたのですが、意外とお客さまの反応がよかったんです。ロボットが配膳することに、抵抗がないんですよね。そういうことに驚いて、ますます『これは使えるものだ』と思いました。

常連のお客様
やはり時代なのかなと思いました。私は特に違和感もなく、人であろうとロボットであろうと持って来てくれる料理は同じなので、差は感じません。あと、文句も言わないし、一家に一台はほしいですね(笑)。

常連のお客様

数値に表せる効果はありましたか?

島本様
アルバイト従業員1.5人分に匹敵する効果があると感じましたね。体調不良もないし、急な欠勤もありません。欠員を補充するための求人も不要なところも嬉しいです。

活用方法:BGMも利用、「よっしー」と名付けてお客様に親しみを

「Keenbot T8」がお客さまに親しみを感じてもらえる方策も打ちました。その1つが、「よっしー」という呼び名を付けること。当初は「よしこ」という名前が案に挙がっていましたが、偶然同じ名前のお客さまがいらしたときに呼び捨てにすることになるため、ダイバーシティの観点も入れ、性別を問われない「よっしー」という愛称に決めたそうです。

コロコロと変わる「よっしー」の愛くるしい表情に癒やされるとの声もコロコロと変わる「よっしー」の愛くるしい表情に癒やされるとの声も

島本様
1人のお客さまには使わないというルールも設けました。1人でお店に行って、ロボットが持って来た料理を1人で食べて飲んで帰るっていうのは、なんか味気ないような気がしますし、寂しいじゃないですか。ロボットがもっと普及したら変わるかもしれませんが、皆さん、まだそこまで慣れていないんじゃないかと思います。

お店になじむよう、設定にも配慮を。数多く用意されたBGMの中から、お店に合うものをチョイスし、雰囲気を壊さないようにしました。豊富な音声機能はお客さまに親しみを持ってもらうだけではなく、従業員にも安らぎを与えてくれると島本様は言います。

厨房に戻る「よっしー」。「ただいま」の声がスタッフを和ませる厨房に戻る「よっしー」。「ただいま」の声がスタッフを和ませる

島本様
厨房に戻ってきたときに『ただいま』と言う機能があるんです。お客さまが多くてピリピリしているときに『ただいま』って言ってくれるのは、すごくホッとします。

効果:コンパクトな空間も自由自在に配膳。30%の業務負担減に加えて、“ココロの負担を和らげる”メンタルケア効果も

人手不足の解消以外でも、さまざまな副次的効果があったと語る島本様。特に、メンタル面に貢献する効果があったようです。

島本様
熱い物は熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに運びたいですよね。そういうときにすぐに動いて配膳してくれるので、仕事に余裕が生まれました。混雑する時間帯は本当に忙しくてピリピリしてしまい、仕事がちゃんとしたものになりません。『よっしー』がちゃんと料理を運んでくれるから心に余裕を持てるようになったのが、一番良かったと思うことですね。

少人数で対応する中で、『Servi Plus』は特に活躍

客席から厨房までの狭い通路でもぶつかるようなことはなくスムーズに動くため、「よっしー」の配膳に不安はないと言います。また、ロボットだからこそ、できるようになった接客も。そのひとつが、「バースデーソング」。お誕生日のお客さまにケーキを運んでバースデーソングを流したところ、感激していただけたとのこと。

島本様
店の照明も暗くして『バースデーソング』を流したら、他のお客さまも協力してくださいました。人がやると照れくささもありちょっとぎこちなくなったりしますが、『よっしー』がバースデーソングを流すとみんなでなんとなく一緒に歌ったりして、いい雰囲気でしたね。

食事が終わったあとの下膳にも、「よっしー」は活躍しています。以前はお皿やグラスを片付けるのにテーブルと厨房を何度も行き来していましたが、いまは一気に片付けられるようになったと、スタッフの馬場様は語りました。

スタッフの馬場様

馬場様
レジでの会計や他のお客さまからの注文があると、その合間に下げられる食器は3つか4つです。他の仕事もしなきゃならない中でロボットが一度に多くの食器を運んでくれるので、だいぶ変わりました。体感でいうと30%くらいは違うと思いますよ。

「よっしー」が1日に往復する回数は、1日30~40回。これまでには、1日60回往復したこともあったといいますから、負担軽減は一目瞭然です。

今後の展望:余裕ができた今、忙しくて休止したランチの再開を検討。人とロボットが共存した働き方

配膳の手間がなくなり人手不足の解消、お客さまへの対応向上を果たした「お出汁・酒肴・佳さく」ですが、「よっしー」をさらに使いこなしていくために今後も活用の幅を広げたいと言います。

よっしー

島本様
やっぱり『まだまだ使い切れていないんだろう』という気持ちはあります。もっと『こういう風に活用したい』『こういう使い方をしてみたい』と思うこともたくさんありますね。でも、それはどんどん使っていって、お客さまにも慣れていただくことで見えてくるものだと思っています。 また、「よっしー」がお店によりなじんでいくために、今後も心がけたいことがあります。

島本様
作業の負荷は減ったけれど、人じゃないとできないこともあるので人材募集はやめていません。一時期やっていたけれど忙しくなってできなくなったランチ営業も、再開したいですし。そうしたら、よっしーには昼から活躍してもらいたいですね。よっしーが配膳してくれることで、私たちは違うことに時間を使うことができます。お客さまと話す時間も作れるので、よっしーができることはよっしーが、私たちがした方がいいことは私たちがっていうバランスを大切にしたいですね。

よっしーができることはよっしーが、私たちがした方がいいことは私たちがっていうバランスを大切にしたい
お出汁・酒肴・佳さく 配膳ロボット導入事例

今回のポイント

①常連客も多いコンパクトな居酒屋での導入
②アルバイト1.5人分に相当する労働力に
③繁忙期でも心に余裕が生まれるメンタルケア効果

今回活躍したKeenbot T8

Keenbot T8

Keenbot T8

安定性抜群でドリンクなどの運搬も安心、コンパクト設計で狭い通路もお任せ。トレイに設置されたLEDライト通知でわかりやすく、画像認識センサで料理の受け取りを自動検知します。

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