「ロボットの生み出すスキマ時間がコミュニケーションの時間に変わる」人手不足とCS向上を両立させた、ハイグレードゴルフ場 PGMマリアゴルフリンクス

  • PGMマリアゴルフリンクス様(千葉県)

PGMマリアゴルフリンクス様

人手不足が叫ばれる飲食業界の中でも、立地的に通勤が難しく、また早朝から営業するゴルフ場のレストランは、特に採用が難しい業態。そんな中、PGMが保有・運営するゴルフ場の中でもハイグレードクラスの「GRAND PGM」の中の一つである、千葉県のPGMマリアゴルフリンクスは、配膳ロボット「Servi Plus(サービィプラス)」を導入しました。スタッフの負担低減だけでなく、配膳ロボットの導入によりお客さまの目を見てお話ができる時間が増えるなど、CS(顧客満足度)向上にもつなげています。

(この記事はこんな課題を持つ人におすすめ 読了目安:10分)

  • ホールスタッフの人手不足に悩んでいる
  • 早朝や深夜など出勤人数が少ない時間がある
  • お客さまとのコミュニケーションを増やしたい
  • サービス向上、CS向上を図りたい

  • 【お話を伺った方】
    左:PGMマリアゴルフリンクス 支配人 藤森 正登 様
    右:パシフィックゴルフマネージメント株式会社 運営本部 運営推進部 兼次 保尚 様
    中:PGMマリアゴルフリンクス ホールマネージャー 高松 芙有子 様

  • お話を伺った方

     

  • 施設・会社概要

     

  • 【施設・会社概要】
    千葉県木更津市にあるPGMマリアゴルフリンクスは、全国にあるPGMゴルフ場の中でもハイグレードな位置づけとなるGRAND PGMのコース。東京湾アクアラインからのアクセスもよく、東京都内を中心に関東各地から腕利きのゴルファーが集まる。

課題

  • ①人材採用が難しい中でスタッフの負担が増えていた
  • ②一方で、労務時間の観点からスタッフの働ける時間も限られていた

効果

  • ①厨房との連携によりスタッフの歩行距離が短縮化し、負担が軽減
  • ②同時にお客さまに目を配れる余裕が生まれ、接客CS(顧客満足度)が向上

特長:ピート・ダイ氏が設計した本格ゴルフコースと、ホールを見渡しながら食事を楽しめるレストラン

PGMマリアゴルフリンクスは、アメリカの有名なコース設計者であるピート・ダイ氏が日本で初めて設計したと言われているコースで、お客さまは40代から50代のPGM会員が中心です。ただ、新型コロナウイルス感染症の流行で、人と人との距離を保って楽しめるアウトドアスポーツとしてゴルフが見直されたこともあり、最近では若年層や女性のお客さまも非常に多く来場されているとのこと。

PGMマリアゴルフリンクスは、アメリカの有名なコース設計者であるピート・ダイ氏が日本で初めて設計したと言われているコース
  • 交流の場でもあるレストランは、PGMマリアゴルフリンクスにとってかなり重要な空間で、特にホールを見渡せる大きな窓がこだわり
  • その中でも、お客さまにとって休憩の場でもあり、交流の場でもあるレストランは、PGMマリアゴルフリンクスにとってかなり重要な空間で、特にホールを見渡せる大きな窓がこだわりです。

  • 藤森様

    ホールに設けられたこの大きな窓は、18番ホールを眺めながらお食事を楽しんでいただける、非常に開放的なつくりになっています。ゴルフ場ですので当然ゴルフを目的にご来場いただくのですが、レストランでおくつろぎいただくプレー後の時間も楽しんでいただきたいですね。それが、またご来場いただく動機のひとつになればという思いで、スタッフ一同でおもてなしをさせていただいています。

  • PGMマリアゴルフリンクスは、アメリカの有名なコース設計者であるピート・ダイ氏が日本で初めて設計したと言われているコース

課題:休みなく働ける人材。高台にあるゴルフ場という立地ゆえの人手不足で配膳ロボット導入へ

若年層や女性のお客さまも増えるなど、一見すると順風満帆に見えるPGMマリアゴルフリンクス。しかし、飲食業界の人手不足は、年々深刻さを増しています。それは、ハイグレードゴルフ場であっても同じです。PGMマリアゴルフリンクスでは、他部署からヘルプにきてもらうなど、スタッフ間の協力が欠かせない状態になっていたといいます。

若年層や女性のお客さまも増えるなど、一見すると順風満帆に見えるPGMマリアゴルフリンクスだが抱える問題もある
  • 交流の場でもあるレストランは、PGMマリアゴルフリンクスにとってかなり重要な空間で、特にホールを見渡せる大きな窓がこだわり
  • 兼次様

    昨今、飲食業界を中心に人手不足、働き手不足と言われています。我々ゴルフの業界でも深刻な問題となっており、PGMグループのゴルフ場においても、レストランを中心に人手不足が顕著です。コロナ禍を経て人手不足が慢性化しており、運営本部として最重要課題と捉えていました。

藤森様

現場からも以前からスタッフを増やしてほしいという話はあり、色々な形で募集はしていましたが、ゴルフ場は立地的に通勤が難しいこともあり、なかなか応募につながらないのが現実です。さらに働き方改革を推進する中で労務管理にも厳しい目が向けられており、各スタッフが働ける時間には限りがあります。そうした背景から、24時間365日休みなく働いてもらえるロボットには、以前から興味を抱いていました。

  • PGMマリアゴルフリンクスは、GRAND PGM(グラン ピージーエム)といい、グループ内から16コースのみが選ばれるハイグレードなゴルフ場。VIPのお客さまの利用も多く、「そのような場所に配膳ロボットを導入していいのか……」との葛藤があったと、藤森様。しかし、それ以上に「可能性を感じた」と言います。最終的に導入を決めた運営本部の兼次様は、決断の理由を次のように話してくれました。

  • PGMマリアゴルフリンクスは、GRAND PGM(グラン ピージーエム)といい、グループ内から16コースのみが選ばれるハイグレードなゴルフ場

兼次様

ソフトバンクロボティクスさんからお話をいただき、渋谷の『Pepper PARLOR(ペッパーパーラー)』にお邪魔させていただいて、大きな衝撃を受けました。スタッフの方はほとんどいらっしゃらなくて、オペレーションの9割9分をロボットが行なっていたのです。ここまで自動化されるんだいうことを改めて感じるとともに、これはゴルフ場でもおおいに活用できるんじゃないかと感じて導入を決めました。

導入の決め手は「① 運搬力の高さ、② 配膳性能の高さ、③ 充実したサウンド機能」

  • PGMマリアゴルフリンクスが導入したのは、ソフトバンクロボティクスの中でもハイエンドモデルとなるServi Plusで、他社に先駆けての導入となりました。このモデルを選んだのにも、ハイグレードゴルフ場、そしてPGMグループならではの3つの理由がありました。

    ①4人分の食事が運べる大きなフードトレイ
    ②サスペンションによる安定した運搬力
    ③スタッフの声の録音もできるサウンド機能

  • (キャプション)高品質なサスペンションを備え、ドリンクなどの不安定な運搬物も載せて安定走行でき、最大1.2cmの段差にも対応

    (キャプション)高品質なサスペンションを備え、ドリンクなどの不安定な運搬物も載せて安定走行でき、最大1.2cmの段差にも対応

兼次様

ゴルフは基本的に4名1組でプレイするので、1回の配膳で4人分の食事を同時に載せて運べることが非常に重要です。レストランの厨房とホールの間には段差や傾斜があり、安定した配膳性能も必要でした。『Servi Plus』のサスペンション機能は優秀で、そのような場所でも安定して料理や飲み物を運ぶことができます。『Servi Plus』は、動作時のサウンドを好みの音源に変更できるところにすごく魅力を感じました。スタッフの声を録音して使っているのですが、発声がクリアで抑揚の効いたサウンドなので、受け入れてもらいやすいのではないかと思っています。

  • 交流の場でもあるレストランは、PGMマリアゴルフリンクスにとってかなり重要な空間で、特にホールを見渡せる大きな窓がこだわり
  • PGMグループでは、笑顔を声に載せることを「笑声(えごえ)」と呼んでおり、笑声での接客を大切にしているとのこと。配膳ロボットを使う場合でも、よりリアルな接客をしたいと考えて、スタッフが喋っているかのような演出をしているそうです。

活用方法:ロボットが料理を運び、スタッフがテーブルに提供する「間接配膳」で利用。ゴルフ場に見合う品格とロボットの利便性の両立を実現

期待を込めて導入を決めても、実際にレストランでどのように活用していけるのか。オペレーションや操作に不安を持つのは当然のこと。導入時の様子や現在の活用状況をお聞きしました。

導入時の様子や現在の活用状況をお聞きしました
  • 各棚とも上面にフードライトがついていて、お料理を明るくおいしく見せてくれる

    各棚とも上面にフードライトがついていて、お料理を明るくおいしく見せてくれる

  • 藤森様

    厨房からホールまでに傾斜があってルート設定が難しいのではないかと思いましたが、ソフトバンクロボティクスさんが慎重に設定してくださいました。何回もテストをやって、非常に丁寧に対応してくださったので、それはありがたいなと思います。ロボットが入ってから2日目くらいに見せてもらいましたけど、みんな普通に使っていましたね。

  • Servi Plus
  • Servi Plus
  • 高松様

    人が働いている中にロボットが入ってきたら、どういうふうにオペレーションしていけばいいのかなと不安はありました。でも、操作方法もわかりやすくて、初めてのスタッフでも安心して使用できています。本当にシンプルで、最初に『こういう操作ですよ』って聞いただけでスタッフみんなが使えるようになったくらいです。

  • 操作方法もわかりやすくて、初めてのスタッフでも安心して使用できる
状況に合わせた柔軟な稼働ができるよう、運用台数ごとにルート設計を実施

状況に合わせた柔軟な稼働ができるよう、運用台数ごとにルート設計を実施

  • 当初は、お客さまが配膳ロボットから料理を受け取る段階でトラブルがあると困るので「下膳」のみにで使う想定だったそうですが、現在は、席の前までロボットが料理を運び、スタッフがテーブルに提供するという「間接配膳」という方法を採っています。その理由も、お客さまとの接点は人の手を介すべきという考えから。導入からおよそ2カ月、まったくトラブルは起きていないということです。

また、特にお気に入りなのが「サウンド機能」。藤森様いわく、「『Servi Plus』では、好きな音源を再生することができます。今後、お客さまの誕生日の演出等で是非活用してみたいなと思っています。それができると幸せな気持ちになれそうですよね。」とのことでした。

効果:業務効率化で心にゆとりが生まれた。お客さまとの対話・接客の質が上がり、CS(顧客満足度)向上にも貢献

人手不足の解消を主な目的として、「Servi Plus」を導入したPGMマリアゴルフリンクス。実際に、稼働をはじめてみると、想定していた以上の効果を発揮していると言います。

少人数で対応する中で、『Servi Plus』は特に活躍

藤森様

最も大きな効果が見られたのは、モーニングの時間帯ですね。ゴルフ場のレストランは朝6時にオープンしますが、スタッフ全員が6時に揃っているわけではありません。少人数で対応する中で、『Servi Plus』は特に活躍しています。

具体的にどのような作業で効果を実感いただけましたか?

  • 各棚とも上面にフードライトがついていて、お料理を明るくおいしく見せてくれる

    各棚とも上面にフードライトがついていて、お料理を明るくおいしく見せてくれる

  • 高松様

    厨房の方が料理をセットして配膳ロボットに載せてくれるので、ホールスタッフが厨房の中まで入る必要がなくなりました。その分、移動時間が減ったり重い物を運ばなくてよくなったりと、とても助かっています。厨房に料理を取りに行く時間がなくなったことで、常にホールの様子を見ていられるようになりましたし、ドリンク提供の時間も短縮されました。お客さまに目を向けられる時間が増えて、『接客の質』が上がっていると感じます。お客さまにもいい効果を感じていただけているのではないでしょうか。

お客さまにも効果を発揮している『接客の質』について教えてください。

兼次様

『Servi Plus』は人手不足解消の一助になると強く確信していますが、スタッフの業務効率化による効果も大きいと考えています。業務が効率化されることによって、スタッフひとりひとりが今まで以上にお客さまに目を向けて接客サービスに注力できるようになるのではと期待しているところです。たとえば、ランチのピークタイムにはお客さまが集中して注文も多くなり、スタッフの余裕もなくなります。そこを『Servi Plus』がサポートすることで、スタッフひとりひとりが心にゆとりをもってお客さまとの対話や接客に臨めるようになるでしょう。これまでは行き届かなかった部分にも目を向け、もう少しお客さまのかゆいところに手の届くようなサービスを、今後展開していきたいと考えています。

今後の展望:「ロボットのいないレストランは考えられない」PGMグループのゴルフ場の一斉導入に向けた礎

今回、PGMマリアゴルフリンクスへの『Servi Plus』導入をきっかけに、PGMグループのゴルフ場に一斉導入することが決まりました。今後、どのように配膳ロボットを活用していきたいか、どんな期待を寄せているのかを聞きました。

少人数で対応する中で、『Servi Plus』は特に活躍

藤森様

今のところは、ファミリーレストランで見かけることが多いので、『ロボットが料理を持ってくるなんてファミリーレストランみたいだね』と思われているかもしれません。しかしこれからは、高級レストランとファミリーレストランといった区別がなくなり、これが当たり前になるんじゃないでしょうか。PGMグループが、その第一歩になればいいのではないかと、そういう風に思っています。もう配膳ロボットのいないレストランは、考えられないですね。

高松様

最初は、なぜ『GRAND PGM』で配膳ロボットを使用するのか、最終的にスタッフがテーブルに配膳するならロボットはいらないのではないかという声もありました。でも徐々にお客さまにも受け入れられている状況です。興味を持ってくださるお客さまや、積極的に利用してくださる方もいらっしゃいます。

今後、『Servi Plus』をどのように活用していきたいですか?

兼次様

今回は『Servi Plus』をPGMグループのゴルフ場で一斉導入するに至りました。これをスタートに、ソフトバンクロボティクスさんとともに、今後あらゆる業務の自動化、効率化ができる未来のロボットを取り入れていくことに大きく期待したいですね。

  • 少人数で対応する中で、『Servi Plus』は特に活躍
  • 藤森様

    今後については、ここは会員さまが非常に多いので、本来スタッフには会員さまとのコミュニケーションを大事にしていただきたいなと思っています。とはいえ人手不足なのでどうしても接客が慌ただしくなり、お客さまとゆっくりお話もできない状況になりつつあります。

そこにロボットが入ることによって、ロボットが料理を運んでくるのを待つ間、ほんの数秒かもしれませんけど、そこでお客さまの目を見て会話ができる時間が生まれればさらに良くなるのではないかと思います。

今回のポイント

①VIP客も来るハイグレードクラスのゴルフ場での導入
②スタッフの移動距離を短縮し、人手不足をカバー
③スタッフに余裕が生まれたことで、CS向上に寄与

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