人とロボットがともに改善しあうことでサービス向上を実現! 提供シーンが変化するホテルレストランで1日中活躍する配膳ロボットの実力とは?

  • 名古屋プリンスホテル スカイタワー 様(愛知県)

名古屋プリンスホテル スカイタワー 様(愛知県)

■下膳業務を代替。モーニングはトレーごと、ランチとディナーでは食器をバケットに入れ一括運搬!
客数や時間帯に応じて運用方法を調整し、スタッフとロボットが協力して1日を通した最適なロボット活用を実現。1日あたり約100往復、3.3時間の運搬作業代替。人件費換算で月約16万円分の効果を発揮。
■お客さま満足スコアが向上!余剰時間の創出でお客さまとのコミュニケーション機会も増加!
余剰時間が生まれスタッフのホール滞在時間も増加。スタッフがより接客に注力できるように。またロボット導入をきっかけに、お客さまの声を直接伺える機会も創出。
■余剰時間でスタッフがスキルアップ!作業を分散できる環境に。
余剰時間を活用してスタッフのスキルアップに注力。現場責任者を担当できるスタッフが4名から7名に増加し、責任者の業務も分散させることができるようになった。

  • 【お話を伺った方】
    名古屋プリンスホテル スカイタワー
    ファイナンシャルコントロール 水嵜 健太 様
    料飲サービス 早川 朱里 様

  • お話を伺った方

     

  • 施設・会社概要

     

  • 【施設・会社概要】
    名古屋プリンスホテル スカイタワーは、名古屋駅から1駅のささしまライブ24地区にあるグローバルゲート31F~36Fに位置しているホテルです。美しい眺望を楽しめる客室やレストランはもちろん、フィットネスルームやビジネスセンターも完備され、さまざまなシーンで多くのお客さまにご利用されています。
    今回お話を伺った「Sky Dining 天空」は、ファミリーやカップルに好評のブッフェスタイルレストランです。

課題

  • ①多くのお客さまがお越しになるも、下膳業務に人員が必要であったため、接客に注力ができていなかった。
  • ②ブッフェスタイルのため下げ場に下膳が溜まってしまい、店内美観を維持できなくなっていた。

効果

  • ①Delivery X1がスタッフ1名分の下膳業務を代替。スタッフがホールに目を配ることができ、接客により注力できるように。お客さま満足度も向上。
  • ②定期的にロボットが下膳業務を行うことで、下げ場に使用済みの食器が溜まらず、店内美観維持が可能に。

時間と季節によって異なる魅力が感じられ、空と海が融合した非現実的な空間を提供するレストラン!

名古屋プリンスホテル スカイタワーと、31Fにあるレストラン「Sky Dining 天空」の概要をお聞かせください。

  • 水嵜様

    当ホテルがあるささしまライブ24地区は、中川運河を利用して荷物の運搬を行っていたという歴史があります。中川運河は船出の場所であり、人々の往来の始まり、また帰り着く場所として古くから栄えてきました。この「ささしまライブ24」という立地や高層階に位置するホテルであることから、「空の浮きふね」というコンセプトのもと開業いたしました。

  • 株式会社さんぱち 代表取締役社 中秀世様

船旅には美しい景色がつきものですから、レストラン「Sky Dining 天空」でも眺望にこだわっております。地上140mから、昼間はトレインビュー、夜は夜景と時間帯によって魅力を変える名古屋の街並みをお食事と一緒にお楽しみいただけます。
もちろん、季節に合わせてイチゴや栗などを使ったフェアメニューを提供するなど、料理にも力を入れています。

早川様

フェアメニューに合わせて、内装も工夫しております。当レストランの内装は「天空の社交場」をコンセプトにつくられ、絶景を背景に空の船旅をイメージしながらお食事を楽しめる空間が魅力だと考えています。

ハロウィンの時はハロウィンらしい飾りでイベントを演出しますし、クリスマスツリーを出す時には、お客さまとスタッフがロビーに集まって点灯式を行ったりもします。少しでもお客さまに楽しんでいただくために、レストランだけでなくてホテル全体で一致団結して運営に取り組んでいます。

おかげさまでホテルの稼働はもちろんですが、このホテル唯一無二の眺望を背景に、市内でも比較的ハイエンドの宿泊ゲストをお迎えしており、その中でラグジュアリーな雰囲気も大切にする空間へのロボット導入の検討をしてきました。

配膳ロボット導入のきっかけ

今回、レストランの運営にロボットを導入しようと思った経緯を教えてください。

水嵜様

人手不足はホテル業界全体の課題ではありますが、当社でも ホールにスタッフが立てず、お客さまをお待たせしてしまったり、お客さまから「ホールにスタッフがいない」といったお困りの声をいただいており、問題となっていました。 さらにブッフェスタイルの当レストランでは、どうしても下げ場に下膳が溜まってしまっていたのですが、 人手が足りないせいで下膳をなかなか洗い場に運べず、店内の見栄えが悪くなってしまっていたことも大きな課題でした
そういった中で、2022年3月頃に本部からロボットを活用することで改善できないかという提案を受け、貴社を紹介してもらったが、最初の検討のきっかけでした。

最初、検討を始めた時はまずは貴社の別の配膳・運搬ロボットのKeenbot T5でトライアルを行ったのですが、その時は私たちの運用スキームの課題などから導入を保留しておりました。その後Delivery X1のご提案を受けて、トライアルを行った結果、レストランチーフマネージャーや管理部の責任者、総支配人などが全員一致で「これなら運用できる」と判断し、本格導入を決定しました。

人の動き、ロボットの動きの両方を改善することにより、1日フル活用できるロボット運用を実現!

トライアル時のお話の前に、まずは現在のDelivery X1の1日の動きを教えてください。

  • 早川様

    基本的にはホールと下げ場、下げ場から洗い場に下膳を運搬する形で運用していますが、モーニングとランチ・ディナーで少し運用方法を変えています。

    モーニングはトレーを使用するので、ロボットにトレーごと乗せて運搬しています。 お客さまの数が多いため回転率優先で運用することを心がけ、下げ場にお皿を溜めないようにしました。

  • モーニング時にトレーごと下膳している様子

    モーニング時にトレーごと下膳している様子

  • ランチ・ディナー時にバケット活用し下膳している様子

    ランチ・ディナー時にバケット活用し下膳している様子

  • ランチやディナーではお皿の利用がメインになるので、下げ場にお皿を集め、まとめてバケットに入れ、バケットを運搬させることで、往復回数を減らす工夫をしています
    さらに、下膳業務が落ち着いている時間は、調理場からホールへ料理を運ぶといった配膳の役割を一部ロボットにやってもらうこともあります。

    時間帯によって最適な運用方法を導入することで、1日を通してDelivery X1をフル活用しています

現在の活用に至るまでにトライアルをされたと思います。トライアル中ではどのような課題がありましたか。

  • 早川様

    やはり、ルートの確保です。ブッフェスタイルという性質上、ホール内をお客さまがよく行き来しますし、料理ボードの周りにお客さまが集まります。お客さまの安全性を保つためにも、ロボットがいかにお客さまを避けて目的地までたどり着けるかというのが、導入を判断する大きなポイントでした

水嵜様

それと、これは私たちの運用方法の課題でもあるのですが、トライアル前はロボットが洗い場まで運搬した下膳を、近くにいるサービススタッフが片づける運用を想定していました。ただ、そのようにすると、そこで人手が必要になり、下膳を片づけている間はホールに1名スタッフがいない状態になってしまうので、結局接客ができずにサービスの質が下がってしまうのではないかという懸念もありました。

その課題は、どのように改善できたのですか。

早川様

ルートについては、担当者の方が実際にレストランに来て、現場状況を把握したうえで細かく調整してくださったので懸念点は解消されました。現在も不安なく、しっかりとお客さまを避けて運搬業務を行ってくれています。

水嵜様

人手については、配置変換で課題をクリアしました。洗い場には食器洗浄業務を委託している協力会社の方がいるのですが、洗い場のスタッフの配置を調整してもらい、下がってきた食器を協力会社の方に回収していただくように変更しました。その結果、サービススタッフに穴を空けないまま、Delivery X1をフル活用できるようになりました

業務効率化により余剰時間を創出!その結果、サービス向上を実現!

Delivery X1の導入後、運用面ではどのような効果が見られましたか。

  • 水嵜様

    現在、Delivery X1は1日あたり約100往復、3.3時間の運搬作業代替をしてくれています。人件費に換算すると約16万円分の効果が出ていると見立てています。 今までは下げ場にスタッフを1人常駐させていたのですが、それが不要になったのは大きいですね。明らかに業務が効率化されたということですから。

先ほどの協力会社の件もそうですが、ロボットの導入と並行してスタッフの配置を見直すことができたので、各スタッフに余剰時間が生まれました。その時間を活用してスキルアップに力を注いだところ、現場の責任者を担当できるスタッフを4名から7名に増やすことができました。これにより責任者の業務も分散させることができるので、さらなる業務効率化が実現しているのではないかと思います。

実際の現場スタッフの声はいかがですか。

  • 早川様

    正直なところ、最初は“ロボットがいない方が効率的なのでは?”と感じているスタッフもいたかもしれません。ロボットの操作が難しかったらどうしようといった不安もあったかと思います。

しかし実際に導入してみると、30分くらい説明を受けただけで簡単にロボットを使えるようになりました。操作としてはボタンに目的地が書かれてあるので、説明を受けていないスタッフでも直感的に操作できるようになっています。なので、スタッフとしてはとても受け入れやすかったと思います。今ではそういった不安の声はまったくなく、むしろ「とても効率がよくて、助かっている!」「デスクワークに時間が充てられるようになった!」という声が多く集まっています
私も1人でホール全体を見なくてはいけない時があるのですが、運搬という業務をロボットが担ってくれるおかげで、ホールに目を配る時間が多くなり、接客に注力できるようになりました。

お客さまの反応やサービスの質は変化しましたか。

  • 水嵜様

    当ホテルには独自のお客さま満足スコアがあるのですが、そのスコアが向上したという結果が出ています。一時期はお客さまからのお困りの声いただいてしまっておりましたが、今ではだんだんとなくなってきております。これは、Delivery X1導入による効果の1つであると考えています。

早川様

当レストランは記念日需要が多いので、誕生日プレートを用意してほしいとか、ケーキを手配してほしいといったご要望をメールでいただくことがあります。
Delivery X1の導入後はそういったお客さまへのメール対応もスムーズにできるようになったので、これもお客さま満足度スコア向上の要因につながっているのかもしれません。

あとはお客さまもロボットに注目してくださるので、ロボットがお客さまとのコミュニケーションのきっかけになるということも起き始めています

特にお子さまからの反応がよく、ロボットの後ろについていったり、写真を撮っている方もいらっしゃいます。「次はいつロボットが動きますか?」と質問されることもあり、そういったコミュニケーションの中で「楽しかった!」「また来たい!」と喜んでいただけると、「この仕事をやっていてよかった」と感じ、モチベーションも上がります。

サポートはどう感じましたか。

水嵜様

担当者の方には、何度ホテルにお越しいただいたか数えきれないです。レストランに常駐し、稼働状況や動作に不備がないか細かく調整してくださいました。導入が完了し終わった今でも、問い合わせるとすぐに駆けつけてくださるので、導入後のサポートの手厚さは変わっておらず、とても感謝しております

また、本格導入が決定した際にはマニュアルも作成してくださったのですが、当レストランの設備やサービスを考慮してカスタマイズしたマニュアルになっていました。そのおかげで、スタッフもDelivery X1を身近なものとしてとらえて、スタッフもトラブルなく業務で活用してくれています。

さらに運営面でのサポートだけでなく、月1で前月の稼働時間のレポートを出していただいています。こういったデータを分析することで、店舗運営で改善された部分や課題がある部分が洗い出せるので、経営面でのサポートでも非常に助かっています

レストランから、どんどん活躍の場を広げて……

今後、Delivery X1をどのように活用していきたいと考えていますか。

  • 水嵜様

    当レストランに隣接する形で、クラブラウンジという宿泊者向けの施設があるのですが、そちらでも活用できないかと考えています。レストランの混雑が比較的落ち着いている時間は、Delivery X1にクラブラウンジへ料理を配膳させてみたいなと思っております。今も少しずつ運用を試しているのですが、ゆくゆくはレストランのようにロボットの活用を定着化させ、業務改善につなげていきたいと考えています。

早川様

それと、どんな形で決めるかは検討中ですが、導入したロボットに名前をつけたいなと思っています。名前がつくと愛着も湧くので、スタッフにも、お客さまにもより親しみを持ってもらえるのではないかと期待しています。

「ロボットに仕事を任せる」から「ロボットと一緒に仕事をする」へ

最後に、同じ課題を抱えている方へのメッセージをお願いします。

水嵜様

ロボットを導入するにあたって重要なことは、“ロボットを人がどう活用すれば、課題が解決できるのか”という視点を持つことだと思います

ロボットだけを見てしまうと、どうしても「ロボットはあれができない…」という考えになってしまいます。そうではなく、「人の配置やオペレーションを変えれば、ロボットをより効率的に活用できるのではないか」といったように、人間側も柔軟に変わるマインドが必要だと思います

“ロボットに仕事を任せる”のではなく、“ロボットと一緒に仕事をする”という考え方が大切なのではないかと、今回の導入で改めて実感しました。

本日はお話、ありがとうございました。

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